そう言ってまた私に向かって何かを投げた。
赤みがかった小さな羽根が印象的なペンダントだった。
桜也君曰く、持っていればさっきのような霊からは身を守れるらしい。
早速それを首から下げた。
婚約者だと勝手に決めつけられたのも羽根で、身を守るのも羽根。
羽根ってそんなに重要なものなのだろうか?
手の中でその羽根を軽く握り締めた。

「ねえ、オウヤ君。間違ってたらごめんね?」
「何だ」
「この赤みがかった色ってオウヤ君の血?」
「ふざけた冗談も程ほどにしろ」

何となく思った事をぶつけてみた。
返ってきた言葉は不機嫌なものだった。
そうだよなあ…これで“ああそうだよ”なんて
言われたら不気味で付けていられない。
それに本人には失礼だけど投げ捨てている。

「桜也君、散歩行こうか?」
「駄目だ。さっきからそう言っているのが分からないのか」
「ケチ」