墜ちた羽根

彼を丁度空いていた2階のお父さん達の部屋に運んだ。
こんな時、旅行に行ってくれた事に感謝してしまう自分がいた。

「あー…傷が開いちゃってるじゃない。熱もあるし」
「すーちゃん、お粥作っておくから起きたら食べさせなさい。
あと晩ご飯も冷めないうちにね」

おばあちゃんが1階からそう言っているのが聞こえた。
のんびりしているのに、
やはり人一倍にしっかりしている。何時もそう感じる。

「なあ、もしかしてお前が見た血だらけってこいつ?そんな訳ないよな?」

様子を見に来たお兄ちゃんが聞いてきた。
何で勘が鋭いんだろう。
私が1つ頷けば、驚いたような声を出していた。
大した奴だと感心していた。感心して良いのかと、
思わず突っ込んでしまいたくなったけれどやめた。
今はオウヤ君の事でいっぱいいっぱいであったから。