墜ちた羽根

「おばあちゃん、ただい……」
「あら、すーちゃんに信哉(のぶや)。
帰ったの?この人がね、すーちゃんに話があるって」
「ばーちゃん、その人誰?」
「2人が帰ってくる数分前にねー…突然来たのよ」

私とお兄ちゃんはそこにいる男の人に驚きを隠せずにいた。
だけど私はその人を知っていた。
さっきまで病室で会話をしていたあの少年だったのだから。

「な…何で此処にっ?!」
「…走って、来た。」
「何?涼那の知り合いな訳?」

驚きが隠せない。走って来ただなんて、そんな大怪我で?
別れたのはつい数分前。
仮にあの後すぐに抜け出したとしても、
私より先に此処にいるのは可笑しい。それに、だ。
オウヤ君は私の家の場所なんて知らない。
何でこの場所が分かったのだろうか?
私の頭の中はハテナマークでいっぱいであった。
それなのにそれなのに。