墜ちた羽根

両親は何と福引で豪華客船で行く
世界一周旅行という物に当選してしまい、仲良くそれに行ってしまった。
預金とお兄ちゃんの仕事収入があるから
あまり困る事はないけれど、本当に唐突過ぎるな、と思ってしまう。
だから今はお兄ちゃんと父方の祖母の3人暮らしだ。
帰って真っ先に聞かれたのは、何かあったのかと言う事。
電話で伝えたのはおばあちゃんだったから、
お兄ちゃんは私の帰りが遅くなる事を知らなかった。

「お昼に知らない人が血だらけで倒れていてね…付き添ってた」
「事故か何か?」
「私にも分からないんだー……」

空からその血だらけの人が降ってきた、だなんて言えない。
“そうか”とお兄ちゃんは一言言った。
もしかしたら明日の新聞に載るかもなとも。
自分の近くで起こった出来事が新聞に載るのは少し嬉しいけれど、
妙に複雑だった。良い事ではなく、事故(?)での話だからだ。
そう考え、おばあちゃんのいる居間へ入った。