墜ちた羽根

暫くは安静にと言う言葉と共に、お医者さんは去って行った。
もう大丈夫かな、と思った私は
“明日も来るよ”と言い残してその場を去ろうとした。その時だった。

「俺も連れて行け」

瞳は鋭かった。それさえなければ1人になるのが寂しい子供のようだ。
寝てなければ駄目だと厳しく言った。
それで傷が悪化したら大変な事になるから。
しかしそれでもオウヤ君は連れて行けとしか言わなかった。
何があっても此処を出て行きたいらしい。
そんな押し問答が続く中、
もう耐えられなくなってしまった私はそのまま飛び出した。
何だか後ろめたいような感じもしたけれど、
こうでもしないとあのまま言い合いが続いてしまう。
明日になれば大丈夫。
連れて行けだなんて言わなくなる筈だ。そう信じて家に帰った。

「ただいま」
「おかえり」


丁度帰って来たらしいお兄ちゃんが出迎えてくれた。