恋愛不向きの彼の愛し方

「怜香……もしかして、自分よりも先に兄貴達に会わせたこと怒ってる?」


涙を陸哉が優しく拭い聞いてくるから、ウンウンと大きく頷いた。


「それは、怜香が大事だから」


言っている意味がわからない。


キョトンとして、陸哉を見つめていた。


「あー、もう!わかった!わかったから、そんな目で見るな」


困った顔で、口を開きかけては閉じ、また開きかけては閉じと、陸哉にしては珍しくハッキリと言わない。


痺れをきらした私が、陸哉の名前を呼ぶと観念した。


「俺達兄弟、女の趣味が同じなんだよ。だから兄貴達に会わせたくなかった」


ぼそぼそ小さな声だった。


それでも至近距離の私の耳にはしっかりと届く。


「それって、」


上擦った声になってしまったが、自惚れてしまいそう。


「怜香の想像した通りだよ。兄貴達に口説かれたら俺は敵わない」


耳まで赤くして陸哉は呟いた。