恋愛不向きの彼の愛し方

「間違ってたら、ゴメン。海斗さんと陸哉って従兄弟か何か?さっきの女の人と何度も来ているよね?」


「俺に兄貴が二人いることは知っているよね。それが蒼空と海斗。従兄弟じゃないよ。確かに、あちこちの店に行くとデートと勘違いさせそうだから、いつも相談にのるときは、この店だったけど」


「…………」


怒りよりも悲しみが襲ってくる。


年が離れた兄が二人いることしか知らなかった。その兄がどんな仕事に就いているかも知らなかった。


私が今まで聞かなかったから?


聞いていたら、こんなに悲しい気持ちにならなかったのかな?


「怜香?どうした?」


ポロリと涙が堪えきれずまばたきと同時に零れると、陸哉は戸惑いを隠せないようで、どうした?と何度も聞き返す。


「私を兄弟に紹介すらしてくれなかった。さっきの女の人に、彼女なのに負けた気がする」


自分が嫉妬深くて、負けず嫌いだったなんて。