恋愛不向きの彼の愛し方

「り、陸哉」


陸哉のスーツの裾を引っ張ったけど、人の気持ちは複雑で何も言えなかった。


このまま陸哉と二人、帰るのかと思ったら、陸哉が海斗さんを無理矢理スツールから退けて、私の横に座った。


「俺、まだ怒っているからね」


ギロリとキツい視線で見られて体が強ばった。


「私だって怒っているからね」


「何で?女と二人だったから?それとも怜香に内緒にしていたから?どちらにしても疚しいこと全くないから、心配かけさせたくなかったんだよ」


陸哉の目が怒っていると言っていたのに優しく変わった。


でも………


「私が怒っているのは、そこじゃない!」


「え?」


本気でわからないのだろうか?


「怜香?俺、そんなに怜香を怒らせている?」


頷くと陸哉は自分が怒っていたことも忘れて、考え込んでいた。


「ゴメン、怜香。わからない。教えて」