恋愛不向きの彼の愛し方

「私のどこが彼女より劣るというの?確かに、ちょっと行き過ぎたことをして皆からハブられてしまったけど、そうまでしても、リクさんのこと手に入れたいっていう私の気持ち分かって貰えないの?」


「分かる気はないよ。仕事に支障が出ることまでする人を好きになれるはずがない。この際だから俺から言うけど、海斗が言うように面倒だからってだけで君の相談に付き合ったわけではないよ。課長から頼まれたんだ。君のしたことは、会社に損益を与えたんだから、分かるよね?明日、覚悟して会社に来た方がいい」


「何よ!馬ッ鹿みたい。少しはいい男かと思ったのに、会社の言いなりなんてつまらない人。いいわよ、あんな会社、こっちから辞めてやる。さようなら!」


本性をさらけ出した後、鞄を手にして、ドタバタと音を立てて出ていった。


呆気に取られてポカンと全員で見送ったけど、彼女が精一杯強がっていたのに気付いてしまい何とも言えない気持ちになった。


真っ青な顔で、手も震えていたし、今にも涙が零れそうに潤んでいた。