恋愛不向きの彼の愛し方

「ブスが会社で自分に近づく女にことごとく嫌がらせをして孤立したこと知っているくせに、女どもから嫌われているというくだらない相談を、面倒だという理由だけで、ブスの誘いにホイホイと乗るヤツ。アホらしくてウザい」


酔って熱くなったはずなのに、その場の空気と同じで身体が凍りついて瞬き一つするのも苦しい。


「あーあ。海斗、営業妨害しないでよ！ヤヨイちゃん、いい客だったのに」


蒼空さんは、唇を噛み締めて真っ赤な顔をしている女を見て溜め息を吐いた。


「お前のいい客って、お金儲け出来るかどうかだけだろ。一番、腹黒いヤツがよく言うよ」


海斗さんの言葉に、驚愕して蒼空さんを見つめた私に苦笑だけを返されて、海斗さんに同調するしかない。


「海斗、俺、杏里ちゃん送って行くから。お前も、帰れ！こういうのは、当事者だけで話をした方がいい」


哲也さんは、立ち上がり海斗さんの腕をつかんだが、簡単に触り払われていた。