恋愛不向きの彼の愛し方

「何を?言ってる意味がわかりません」


すぐ近くにあった海斗さんの顔にビックリしていたら、もっと驚くことが待っていた。


「悪い。待たせた!課長容赦な…い……って」


聞こえてきた声に反射的に振り返ったのは、聞き慣れた声だったから。


「怜香?」


間の抜けた声に被せるように、

「リクさん!今日はこっちだって!酷いんだよ、海斗さんブスって言うの!」

女性の甘ったるい声が聞こえる。


同様に振り返っていた杏里は、

「え?陸哉さん?え、どういうこと!?」

キョトンとした顔で私と陸哉を交互に見ていた。


「怜香がどうして此処にいる?」


はじめて聞いた陸哉の凄んだ声に血の気が失せていく。


「合コン。杏里ちゃんの友達のピンチヒッター」


海斗さんが誰よりもはやく陸哉にこたえている。


「そんなこと聞いてない!」


「そりゃ、連絡する暇がなかったんだろ?」


「煩い!海斗は黙ってろ!俺が聞きたいのは、なんで海斗と此処にいるかってことだ!」