恋愛不向きの彼の愛し方

「ブス!俺はお前なんかと話すことなんてない。あっちに行け!」


指を差したのは、二人掛のテーブル席。


「私も、こんな人が近くにいたらお酒も不味くなるしイヤだ!」


杏里が海斗さんに乗った。


「ごめんね、今日は向こうでお願い出来るかな?」


蒼空さんは引き攣る頬を懸命にあげてお願いしている。


「もう!酷いですね、リクさんに言っちゃうから」


プイとして踵を返した女性。


「「何あれ」」


私と杏里の声が重なった。


ゴメンと小さく言ってから女性のもとに向かった蒼空さんは仕事だから仕方ないけど、海斗さんも哲也さんも閉口してアルコールを煽る煽る。ピッチが早い。


「あんな女と仲良くしている海斗さんの気がしれない!ガッカリだわ!」


杏里までペースをあげて飲んでいて、私はこの場の空気をどうしようかとぼーっと考えていた。


「覚悟しろよ!」


口を開いたと思ったら海斗さんが私に耳打ちする。