シンデレラルーム 702号室

「あのバカが席取っちゃって悪いね」


グラスを持った手であたしが座っていた席を示しながら、彼は無表情のまま言った。



反射的にそっちを見ると、栗山くんが楽しそうに綾乃と話している。

その様子と、有坂くんが“悪い”と謝ったことがなんだか意外でふふっと笑ってしまう。



「あぁ、いいの!あたしも有坂くんと話したかったから」



……あ、つい言ってしまった。


あたしは可愛い女を演じたり、計算で話したりは出来ない性格。


だからいつも思ったことをそのまま言ってしまう。



有坂くんはグラスを口に付けたまま一瞬ピタッと動きを止めて、ちらりとあたしを見た。