「結婚ねぇ……」


そう呟いて苦い液体を喉に流し込み、ふう…と軽く息を吐き出した。



“ずっと一緒にいたいから結婚する”と考えるなら、後にも先にも相手は一人しか考えられない。


決して自分のものにはならない、愛しい彼女しか──…



「俺には似合わねぇよ。結婚なんて堅苦しいモンは」



そう出任せを言ってフッと短く笑うと、俺は重い腰を上げた。



未練がましいが、きっと彼女への想いは当分消えやしないだろう。


こんなに燃え上がるような恋は、もう二度と出来そうにない。