シンデレラルーム 702号室

「こうしてる今も、もしかしたらあの女の人といるのかもしれないのに…
何も知らないふりして、あの人の機嫌をとって笑って……」



詩織の笑顔が痛々しくて、俺の胸も締め付けられる気がした。


自分が良かれと思って言ったことで、彼女は余計苦しんでいるのかもしれない。



「すごく……虚しくなります」



彼女の左手薬指にはめられた指輪が、悲しく冷たい色に輝いていた。




それからも、俺達は何かと理由をつけて二人で逢うようになっていた。


詩織は悩みを吐き出す場所が欲しかったのだろうが、

俺は、ただ彼女に逢えればそれでよかった。