シンデレラルーム 702号室

待ち合わせた喫茶店は、少し薄暗くて、珈琲のほろ苦い香りが漂うレトロな店。


新聞を読みながら珈琲を飲むサラリーマンや、おしゃべりを楽しむ中年女性達の中に

真っ白なワンピースに身を包んだ詩織が、一人静かに隅っこに座っていた。



俺に気付くと、少し微笑んで軽く会釈する。


その瞬間、ふと自分の中に沸き上がる温かく優しい感情。


その正体が何なのか、気付く時はすぐそこに迫っていた。



「クリーニングに出しておきました。ありがとうございました」


「返さなくていいと言っただろ」


「そうはいきません!」



そう言ってスーツを手渡しながら笑う彼女は、前より幾分か明るくてほっとした。