「(……今なら…、)」


そっと春海から離れた私は、春海の熱いほどの視線を感じながらバッグの中へと手を突っ込んだ。




お目当てのそれをすぐに見つけ、バッグから取り出し。



「……どーぞ。」


そう、ぶっきらぼうに若干睨み上げるような目になりながら春海へと差し出した。

数秒の沈黙を破って、春海はゆるく微笑みそれを受け取ってくれた。




「ありがと、な。」

「……お気に召せば良いのですが。」

「ハハ、使用人かお前は。……開けていー?」



はい、と返事をする代わりに小さく頷けば。春海はいそいそと私の上げたプレゼントの包装を解いていく。


リボンが解かれ、丁寧に外されていくテープ。

やけにゆったりとしたその動作がもどかしくも私の心音スピードを跳ね上がらせる。



出てきた黒の箱。

蓋を開けた春海を、私はただただ見つめるだけ。




「……おー…。」

「(…心臓コワレル…っ!)」

「ライター、だ。」

「恐れ多くも…。」