囚われジョーカー【完】




何も注文してないから、レジをそのまま通り過ぎるカズヤさんの後ろ姿がドアの向こうに消えるまで睨み続けた。



――――多分、あの時。騙す為の小細工として三浦さんが愛用する香水をつけて来たのだろう。




うわ、何で私今更気付いてあの時街で見たのもこの人だと気付かなかったんだ。


何だか悔しいような、でも胸の中の霧掛かったものが消えていくような感覚に息を吐いた。



「菫、知り合いだったの?」

「あー…、そんなとこ。」



すすす、と私に近寄ってきた叔父さんはカズヤさんが出て行ったドアを見ながら私に問いかけてくる。

それに曖昧な答えを返せば、少し怪訝な目で見られたがそれは無視。



が。

それも、叔父さんが次に朧気にだが紡いだ言葉に私は顔を上げ叔父さんを見上げる。






「あ。」

「?」

「なーんか見たことある顔だなって思ってたら。あの人、結構前に菫がジュース零した三浦グループの坊ちゃんじゃん。」