家庭科室の甘い味

「私……、昨日の事を謝りたくて」


「なんで?」


謝るのは俺の方。


茜ちゃんが謝る必要なんてないのに。


「なんで?って……。だって、私、昨日、先輩の事怒らせちゃったから……」


茜ちゃんはふっと目を逸らす。


そんな茜ちゃんを俺はぎゅっと抱きしめ


「茜ちゃんは謝らなくていいんだよ。俺が……、俺が勝手にイライラしてただけだから」


そして、さっきよりも強い力で茜ちゃんを抱きしめる。


そして、


「茜ちゃん、ごめんな……。昨日、悟から茜ちゃんが男に声を掛けられたって聞いて。あんな時間に外で待たせていたら危ない、ってずっと思っていたのに……。
わかっていたのに、茜ちゃんに嫌な思いさせてしまった。茜ちゃんを守れなかった自分に腹が立っていたんだ」