自殺…?

「俺が?」

「うん!考え直して」



フェンスから離れたところに座らされた俺の前で、同じように座って説教(?)するコイツ。


コイツ勘違いしてるよな。



「俺自殺なんかしないけど」

「…うへ?」



変な声出して変な顔する勘違い君。

…完全なアホ面である。

目が点になるってこういうことを言うのか。



「え?自殺じゃ…?なん、フェンス…?」


よほど混乱しているのか、まともにしゃべれていない勘違い君。

なんか笑えてきた。






「空、見てただけ」





勘違い君は力が抜けたようにその場に倒れ込んだ。


隠しているであろう顔は少し見えていて、赤く染まっていた。



「よかったぁぁ…」


そう言いながら顔を隠していた手をどけて、にこっと笑う。


にこっというより、へにょっとかの方があっている。



「空木(うつぎ)君は空好きなの?」


俺がさっきまで座っていたフェンスにもたれかかって、空を見る勘違い君。


「なんで名前…?」


転校生か何かだろうか。

転校生なら同じ学年の人の顔と名前を覚えてないか。



でも今日が初めて会って初めて話したはず。



「同じクラスだよ」

津久野 奏汰(つくの かなた)、よろしくね。と俺が驚いているうちに自己紹介をする。


もう一度きちんと勘違い君…津久野君の顔をみるが、分からない。

記憶にない。


「一応クラス委員長だったりするよ」

「…へぇ」