光を背負う、僕ら。―第2楽章―




困ってるの? 焦っているの?

戸惑っているの? 苦笑してるの?


―…泣いているのかな?




表情を見たわけではないから定かではないけれど、伸一の背中はまるで泣いているみたいにか細かった。



…伸一は、自分の気持ちを言えなくての苦しんでいるのかな。




「…麻木みたいに才能とかあったらさ、堂々と自分の好きなこと選べたんだろうな」


「……」


「麻木見てたらさ、そう思うよ」




顔を上げた伸一の表情は、あたしが想像していたものをすべて含んでいた。



だけどそれを、表には露わにはしない。



苦しくて重たい感情をすべて請け負っているのに、誰にも見せないように隠しているみたいだった。




…なんだかそれは、少し前までの自分に似ていて。


心に残る記憶が、ズキンと音を立てて痛みを作り出す。



ねぇ、伸一。

本当は…――。




「…佐藤君、好きなことはあるんだよね?」


「……っ!」




伸一は虚をつかれたみたいにあたしを見る。



やっぱり、そうなんだ…。