光を背負う、僕ら。―第2楽章―




伸一はいつも、人を惹き付ける魅力を放っていて。



人の中心で輝く、太陽みたいなひと。



勉強も運動も出来るから、クラスでも学校でも目立つ存在。



笑顔が絶えなくていつでも明るいひとだから、まるで悩みなどなく生きている。



きっと夢だって持っているだろう。



……ずっと、そう思っていた。




だけど目の前であたしを“うらやましい”と、“夢も目標もない”と言った彼はまるでイメージとは別人だった。



…当たり前だよね。

悩みなどなく生きている完璧な人なんて、きっと存在していないんだ。



あたしはそんなことさえ分からないまま、伸一のイメージを勝手に決めつけていたのかもしれない。



……あたしって、伸一のこと何も知らないんだな。




「誰にこのこと言っても、意外だって驚かれるよ。
“夢”がないって、おかしいのかな?」


「そんなことないよ…!」




ずっと何も言えずにいたけれど、やっとの思いで口を開いた。



伸一の問いかけに、どうしても否定しないといけないって思ったんだ。



自分のことを話し始めた伸一は、なんだかとても小さく見えた。