伸一はいつも、人を惹き付ける魅力を放っていて。
人の中心で輝く、太陽みたいなひと。
勉強も運動も出来るから、クラスでも学校でも目立つ存在。
笑顔が絶えなくていつでも明るいひとだから、まるで悩みなどなく生きている。
きっと夢だって持っているだろう。
……ずっと、そう思っていた。
だけど目の前であたしを“うらやましい”と、“夢も目標もない”と言った彼はまるでイメージとは別人だった。
…当たり前だよね。
悩みなどなく生きている完璧な人なんて、きっと存在していないんだ。
あたしはそんなことさえ分からないまま、伸一のイメージを勝手に決めつけていたのかもしれない。
……あたしって、伸一のこと何も知らないんだな。
「誰にこのこと言っても、意外だって驚かれるよ。
“夢”がないって、おかしいのかな?」
「そんなことないよ…!」
ずっと何も言えずにいたけれど、やっとの思いで口を開いた。
伸一の問いかけに、どうしても否定しないといけないって思ったんだ。
自分のことを話し始めた伸一は、なんだかとても小さく見えた。



