光を背負う、僕ら。―第2楽章―




「…ありがとう。相談に乗ってくれて。佐藤君の話聞いたら、反対されても頑張れる気がする!」




躊躇っていたわりには結構真剣に相談してしまったから、なんだか照れくさい。



だけどちゃんと、心からお礼を言えた。



伸一も力になれたことが嬉しかったらしく、頬が緩やかに綻んでいく。




「おう、頑張れ!
俺が麻木のファン第1号になって、ずっと応援してるから!」


「ははっ、ファンだなんて…。
まだまだ未熟な演奏なのに大袈裟だよ」


「おまえはそうやって謙遜してるけど、上手いのは俺が保障するって!」




あたしのピアノが上手いのか下手なのかは、何度考えてもよく分からない。



むしろそんなこと、今はどうだっていい。



――ただ。


“上手い”って。
“ファン第1号”って。
“応援してるから”って。


伸一がそう言って笑ってくれるのが、この瞬間は何よりも嬉しかったんだ。




もう一度「ありがとう」と言えば、伸一はまた同じように笑っていた。