光を背負う、僕ら。―第2楽章―




「…でも俺は、麻木が本当にピアニストになりたいんだって思うなら、その意志はちゃんとお母さんに伝えたらいいと思うよ。
だって麻木、ピアノ上手いのにこんなことで諦めてたらもったいねぇじゃん」


「……何度伝えても、反対されたらどうしたらいい?」




声が弱々しくなる。


だって、頑張るのも限界だった。



どれだけピアノの練習を重ねて試験に備えたとしても、受験を認めてもらえなければ結局何も意味がない。



何度も何度もあたしが夢に対する気持ちをお母さんに言ってみたって、一向に聞き入れてはくれない。



それなのに気持ちを訴えて、何の意味がある…?



反対ばかりされたら、頑張る気持ちもなくなっちゃうよ。




「うーん、そうだな…。
言葉でダメなら、態度で示せばいいんじゃねぇの?



「態度…か」


「どれだけ反対されても諦めない。その姿勢だけでも、いつかは必ず意味あるものに変わるんじゃねぇかな。
俺は麻木が諦めずに頑張ってる姿、すげー尊敬するしカッコいいと思うぜ!」




どうして人の言葉って、こんなにも温かくて勇気を分けてくれるのだろう。



余計にそう感じるのは、相手が伸一だからかもしれない。