「志望校かー。そういえばあたし達、そういう話はしたことなかったよね」
「確かにそうだよね。佐奈の夢は聞いたことあったけど」
「うん、そう。だからね、あたしも二人の夢とか聞きたいなーって思うんだけど、いいかな?」
「「もちろん!いいに決まってるよ」」
二人は声を揃えて了解してくれた。
あたしはいつも、二人に応援して助けてもらってばかりいるから。
……今度はあたしが、二人の夢を応援していきたいな。
最初に話してくれたのは流歌だった。
「あたしはねー、小学校の先生になりたいんだ。子供が好きだし、面倒見るのも好きだからやってみたいなーって思ってるの」
照れくさそうに夢を語る流歌は、なんだかとても可愛らしかった。
あたしにも優しく接してくれて頼りになる流歌だから、きっと先生に向いてると思う。
「高校はどこにするの?」
「迷ってるけど…。一応、爽守高校にしようかなって思ってる。あそこ、教育学部がある大学への進学率が高いから」
……爽守高校か。
お母さんによくそこを勧められたことを思い出す。
あたしもピアノと出会うことなく流歌みたいな夢を抱いていたら、きっと流歌と同じことを考えていただろうな。



