だから二人とも、最初からあたしの決断に不服そうにしていたんだ。
……分かってるよ、自分の気持ちぐらい。
嫌になるほど分かってるから、ときどき自分が憎たらしい。
伸一に幸せでいてほしいって思っていることは間違いなんかじゃない。
だけど本音を言うと、あたしがその幸せの理由になりたい。
小春ちゃんみたいに、伸一の隣で笑っていたい。
優しい瞳で、見つめられてみたい。
――伸一に、好きになってもらいたい。
……だけど、それは無理だって分かりきっているから。
「…大丈夫だよ。あたしの決意は変わらないから」
…そう言うことしか出来ない。
涙を見せておきながら言う『大丈夫』は、きっと説得力なんてないだろう。
それでも二人は、黙って頷いてくれた。
「……それよりさ!
二人は志望校どこに決めたの?」
今はただ視界に入ってくる伸一のことを忘れたくて、食べ終えたお弁当箱を片付けながら話題を変えた。



