「佐奈、帰ろー」


「立ち止まってると放って行っちゃうよー?」




二人が振り返って手招きをしている。



思考が現在に戻ってきたあたしは、大きく息を吸って笑顔でそれに応えた。



踏み出した足は軽いのに、力強い一歩だった。




「今行くよー!」




進む、一歩ずつ。



これから始まる新たな旅路の第一歩のその先へ、あたしはこれからも歩いていける自信がある。



だって、いつだって背中には光の存在があるから。



見えなくても、見失っても。

光の存在を忘れない限り、きっとまたあたしの背中を押してくれるだろう。



あたしが見つけた光は、いつだってそばにあるのだから――。




校門を出るとき、ちょうど背後でチャイムが鳴った。



それはあたし達の旅立ちを祝ってくれているみたいに、優しく響いていた。



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