「これって……」
カバンの中で見つけたのは、一冊のノート。
教科のノートの中に混ざって一緒に入っていたそれには、表紙に名前どころか何も書かれていない。
だけど間違いなくそれには、見覚えがあった。
だってこれは、あたしが作詩した詩を書き留めたものだったから。
「……間違えて持ってきちゃったんだ」
自分で作詞した詩を誰かに見られるなんて恥ずかしいから、学校にこのノートを持ってきたことはない。
だけどどうやら机の本棚から別のノートを取り出すときに、間違ってこれまで持ってきてしまったらしい。
明日は気を付けないと…。
そう思いながら、いつしか手はノートをパラパラとめくり出す。
これは間違って持ってきたものだけど、あたしはこれをきっかけにあることを思い出していた。
……そういえば。
「自分で作曲もするんだっけ」
一番の難問で、未だに解決策が見つからない。
そんな入試問題のことを、このノートの存在が教えてくれた。



