光を背負う、僕ら。―第2楽章―




♪~♪♪♪~♪~♪~……




鈴木先生が貸してくれたメトロノームの規則的な音に合わせて、今日もひたすら曲を弾く。



何度も練習を繰り返すうちに、少しずつ手の違和感はなくなった。



東條学園の入試問題の曲も、思ったよりは完璧に弾くことが出来た。



ブランクがあったわりには短時間でこうやって弾けるようになるところを見ると、あたしはお母さんの子供だなって思う。



どれだけピアノを弾いていなくたって、“笹川詩織”の娘であることには変わらない。



少なからずお母さんの能力を受け継いでいるからこそ、短時間で弾けるようになった。



多分……そうだ。




「次は何を弾こうかな…」




カバンの中から楽譜や問題集などを取り出して、次に練習する曲を選ぶ。



だけど手持ちの楽譜の曲はほとんど弾いてしまっていて、練習するうちにいつしか弾き慣れてしまった。



どうせならもっと、違う曲を練習したいんだけどな…。



少しでも練習した回数が少なくて難しい曲の楽譜がないかと、カバンの中身をすべて出して探す。



それでも希望のものは出てこない。



だけど代わりに、意外なものがカバンの中に入っていた。