光を背負う、僕ら。―第2楽章―




ピアノの練習をするために、放課後学校に残ること。



練習が出来るようになったとき、困ったのはどうやってそれをお母さんに伝えるかだった。



もちろん、『ピアノの練習をするから学校に残る』なんて言えない。



黙って帰りが遅くなればお母さんが心配して、危うく練習していることがバレてしまうかもしれない。



じゃあ、どうすれば…。



それで渋々思い付いたのが、別の理由で学校に残るという“真っ赤な嘘”だった。



お母さんには塾に行くまでの放課後の時間、『学校の図書室に残って勉強をしている』と伝えた。



部活を引退してからは塾に行くまでの時間はわざわざ家に帰っていたから、それならつじつまが合うと思って。




――だけど。


お母さんはあたしの言葉を聞いて勘違いをしてしまった。



放課後、学校に残ってまでも勉強すると言ったから、きっとあたしが夢を諦めて勉強に励むと思い込んだんだ。




本当は、違うのに。

諦めてなんか、いないのに。




「……っ…ひっく…っ!!」




自分の嘘が、余計にあたしの気持ちを伝えにくい状況にしてしまった。



嘘をついてしまった罪悪感とこんな結果を招いてしまった悔しさが、嗚咽と涙となって溢れてくる。