「全然わがままじゃないよ、もちろん待ってる。だって……あたしだって同じこと思ってるもん。もう一度きちんと、今の気持ちを伝えたいの。だからそのときが来たら、あたしの気持ちも聞いてくれる?」
気持ちを伝えるなんて予告、自分で言っておきながら恥ずかしくてたまらない。
さらっと言えてしまう伸一とは大違いで、こんなことを考えている間に顔がぼーっと熱くなってしまう。
そんなあたしを見た愛しい人は一瞬含み笑いを浮かべたあと、大好きな満面の笑顔を向けてくれた。
以前は小春ちゃんにだけ向けられていた、優しくて豪快な笑い顔を。
「聞くよ、聞くに決まってる。そんなの当たり前じゃん。……っていうか、楽しみにして待ってるからな!」
はしゃいで嬉しそうにそう言ってくれるから、幸せが溢れ出す。
ニヤニヤとはにかんでしまう表情など隠すことが出来ないくらいだった。
「あたしも……楽しみにして待ってる!」
伸一の笑顔に負けないぐらいの明るい表情に自然となって、そう言っていた。
お互い今よりも強くなるときを、心から待ってるよ。
お互いに依存することでなく、自分の足だけで歩いていけるようになったら、きっと素敵な未来に辿り着ける。
そう信じてる。
だから全部が終わったそのときに、祝福として気持ちを伝え合いたいんだ。
自分で歩んで、最終的に選んだお互いの道。
その道は枝分かれしていて迷うこともたくさんあった。
でもそんな複雑な道から選び抜いた唯一の一本道の先が、お互いに選んだものと交わっていたらいいな。
そう、願ってもいいよね――。