光を背負う、僕ら。―第2楽章―




伸一は小春ちゃんとすでに別れたこととその成り行きのすべてを、とても丁寧に話してくれた。



小春ちゃんだけでなく伸一まで、二人揃って同じように詳しく話してくれるものだから、聞いているこっちは驚いてしまう。



そこは付き合っていたからこそ重なる行動なのかもしれない。



一度聞いた話とは言え、伸一にはそのことを告げることが出来なくて、あたしは何も言わずに最後まで話を聞いた。



それにわざわざ別れたことも話してくれるのは、何かしらの意味があると思ったから。



全部話すと言ってくれたから、あたしもそれに応えたいんだ。




「結局、俺の選択は間違ってたのかもしれない。ずっと付き合ってたら好きになれると思ってたし、その気持ちも続くと思ってた。……でも、駄目だったんだ。小春への気持ちは一時でしかなくて、あいつのことも最初から最後まで苦しめてばかりだった」




伸一の顔が、大きな手で隠される。


手のひらに吸い込まれていった言葉は、まるで自分を責めているみたいだった。



その姿は昨日の小春ちゃんと被って見えて、やっぱり二人は付き合っていたんだなと実感する。



小春ちゃんは伸一との曖昧な関係に悩んで、それでも伸一を想い続けていた。


その一方で伸一は小春ちゃんを好きになろうとして、でもそうなれない関係に苦しんでいた。



想いがすれ違ってばかりだったことは、何度聞いてもひしひしと伝わってきて胸が痛くなる。




「小春のこと、ちゃんと好きになったこともあったんだ。でも自分の本当の気持ちに気付いたらその気持ちもただの優しさだったって分かって、あいつと付き合い続けることが出来なくなったんだ。……だから、俺から別れた。それに一緒にいることが、余計にあいつを傷付ける気がしたから……」




顔から手を離してそう言う伸一の顔は、初めて見る切ない表情だった。