光を背負う、僕ら。―第2楽章―




『手伝ってほしい』と先生は言っていたから、先生も一緒に写真選びをするものなのだと、すっかり思い込んでいた。



でも実際は大量の写真をあたし達に預けると、先生はさっさと逃げるように職員会議に行ってしまった。



どうやら最初から二人に、完全に仕事を任せる気でいたらしい。



段ボール箱の中に無造作に入れられた写真を見て途方に暮れてしまうけど、こうなってしまったからには致し方ない。



むしろ邪魔者がいなくなって伸一と完全に二人きりになれるのだから、願ったり叶ったりじゃないか。



早くも緊迫した空気が流れる寂しげな教室の真ん中で、そう自分を鼓舞して一人で気分を盛り上げる。



でも目の前の写真の山と困惑した表情の伸一を見たら、気分は急降下してしまいそうだった。




「と……とりあえず、写真の仕分け作業から始めようか?」


「ああ、そうだな」




近くにあった机をぴったりとくっつけて、その上に段ボールの中身をどさっと出す。



それに向かい合って、まずは写真をイベントや季節ごとに分ける作業を始めた。



写真は卒業アルバムのために写真屋のカメラマンさんが撮ったもの、先生達が撮ったものやクラスメートのみんなが各自持ち寄ったものだ。



体育祭の臨場感溢れるものや、生徒のさりげない表情を撮ったもの、それから一番笑顔が弾け飛んでいるものなど。



被写体と撮影者の関係が、そこに映る表情や仕草から伝わってくるものばかりだった。



みんなの生き生きした表情に、自然と笑みが零れる。



半年程前の体育祭の写真だけでなく、2ヵ月前の文化祭の写真を見ただけでも懐かしさが込み上げてきた。



写真の数だけ、思い出や過ぎてきた時間があるんだよね。



そしてそれらは、ペラペラの平面の世界に入りきらなかったものもたくさんある。



そういった数がこれだけあることがどういうことを意味しているのか。


自分がしている作業によって、久しぶりに気付かされた。