光を背負う、僕ら。―第2楽章―




「えー、それ俺らがすんの?そういうのって、やりたい人が有志ですれば良いんじゃね?」


「そのやりたい人が続出する気がするから、あえてお前らに頼んでるんだ。大人数で決めようと思ったら逆に時間がかかるからな。それに佐藤と麻木ならクラスのことよく見てるし、二人が選んだ写真ならみんなも文句を言わないだろう?」




何を根拠にそんなことを……。


室長でよく仕事をしていて、ましてやクラスの中心にいる伸一にならその言葉は当てはまるかもしれない。



だけど大して仕事も回ってこないし、自分の役職すら忘れていたあたしにまで頼んで大丈夫なのかな、先生。



教師の特権を使って「な、頼むよ」と強引に仕事を押し付けようとしている先生に、少しだけ不安を覚えた。




「でも先生、俺、放課後は暇人じゃないんですよー」


「引退した部活にわざわざ毎日顔を出す受験生は、明らかに暇人だろう」




何とか逃れようとする伸一だけど、どうやら先生の方が上手だったらしい。



笑顔なのに笑っていない先生の瞳が、伸一に無言の圧力をかけている。



くっ、と悔しそうに顔を歪める伸一が愉快で、先生の前だというのに笑ってしまいそうになった。




「麻木は時間大丈夫か?」


「あ、はい。大丈夫です」


「そうか。じゃあ、二人とも頼むな。写真とか持ってくるから、ちょっと教室で待っててくれ」




先生は不服そうにしている伸一にはもう目を向けることなく、あたしの即答に満足した様子で足早に教室から出て行った。



とりあえず荷物を纏めておくために自席に戻ろうとした瞬間、心底困った顔をしている伸一と目が合った。



そして何も言わずに頭の後ろを掻きながら、伸一は背中を向けて歩いていく。



……たぶん、気まずいんだよね。


公園であやふやな感じで別れたことを思いだすと、それは容易く想像できた。



あたしだって、正直言うと気まずくてしょうがないよ。



でもこれだって、チャンスなんだ。

伸一と話せるようなチャンスなんて、きっとこれ以降は訪れない気がする。



だから嫌でも、この状況を飲み込まないといけないんだよ……。