――カチャ…カチャ
お母さんとあたしの二人しかいないダイニングはとても静かで。
スプーンとお皿が触れ合う音が、沈黙をさらに深くさせる。
……き、気まずい。
気まずすぎるよ、この状況は。
あたしが黙々と夕食を食べ続ける間、お母さんはずっと向かいの席に座っている。
そして頬杖をついて組んだ両手に顎を乗せて、ずっとあたしが食べる様子を観察していた。
テレビをつけるわけでもなく、にっこりと嬉しそうに頬を緩めて。
あたしにはもう、この状況が何を表しているのかなんて分からない。
お母さんの謎な行動にただ、怯えることしか出来ない。
……早く食べ終えて、ここを離れよう。
だけどそう思ったときには、違和感の正体にぐんと近付いていた。
「どう?美味しい?」
料理を半分ほど食べたところで、お母さんはゆっくりと口を開いた。
気まずくてお母さんの笑顔からずっと目を逸らしていたから、ここで久しぶりにお母さんと目が合う。



