光を背負う、僕ら。―第2楽章―




引っ掛かった疑問の正体はこれだったのか……。



まさか小春ちゃんには事実を説明する前から、全部知られていたなんて。



いくらお母さんが引退する前で、ピアニストの娘であることを口止めされていなかったとしても、幼いあたしのおしゃべりには呆れる。



自分に対してため息をつくあたしに、小春ちゃんはちょっとだけ苦笑して続けた。




「……佐奈ちゃんね、ほんと、すごく嬉しそうにお母さんのこと話してた。お母さんが大好きなピアノを自分も弾けて嬉しいんだって。だから練習がつらくなっても頑張れるって。それで佐奈ちゃん、言ってたの。『ピアノって、弾き方次第で色んな音楽を作れるでしょう?お母さんみたいに弾けたらそれはそれで嬉しいし、自分らしく弾けたらすごく嬉しいよ。だってあたしだけの音楽が作れるんだもん。だからあなたも素敵な音楽作ってね。そうしたらきっと、ピアノのこと大好きになるよ』……って。あたし、その言葉にすごく衝撃受けて。あぁ、そういう考え方もあるんだなって、なんか突っかかってたモヤモヤが取れた気がしたの」




小春ちゃんはスッキリした笑顔を浮かべる。

きっと、その時と同じ表情をしているんだろうなと思った。



あたしはというと、言ったはずの言葉なのに、自分の口から出てきたなんて信じられなかった。