光を背負う、僕ら。―第2楽章―




「はい。出来たわよ」


「………」



テーブルの席について並べられた料理の数々を見た瞬間、違和感が冷や汗となって背中を流れた。



デミグラスソースのオムライス。チーズたっぷりのグラタン。ほくほくしたじゃがいものポテトサラダ。



それぞれのお皿に食べきれないほどの量を盛られたそれらはどれも、あたしの大好物だった。



たまたま? 偶然?


何かの記念日でもないのにこれほどまで大好物を揃えられると、喜ぶよりもむしろ恐怖を感じる。




「どうしたの?食べないの?せっかく佐奈の大好物作ったのに」



料理になかなか手をつけないでいると、お母さんはエプロンをはずしながら不思議そうに問いかけてきた。


今もまだ、笑顔のまま。



「……い、いただきます」



これ以上黙っていると何か怪しまれそうで、ギクシャクしながらもスプーンを持った。



スプーンですくったオムライスの卵はこれまた大好きな半熟で、余計に不安ばかりが募る。



いつもなら大好きな料理の匂いも、今はただの吐き気を催す材料でしかない。