光を背負う、僕ら。―第2楽章―




まだ何一つ理解出来ていないあたしに、小春ちゃんは「一つずつ話すね」と順番に話してくれた。




「あたしね、小さい頃からピアノが嫌いだったの。習い始めたのもお母さんが望んでただけで、ちょっと強制的だった。
今思うとお母さんは自分がピアニストだから、娘のあたしにも同じようになって欲しかったんだと思う。けどピアノを習い始めた頃のあたしはそういうこと全然分からなくて、いつも嫌々練習してたの」


「……つらくなかったの?」


「ちょっと、つらかったかな。何でピアノなんかって思うこともあったし、弾いてても何一つ楽しくなかった。だから開き直って適当に弾くこともあったよ。……まぁ、お母さんにすぐばれちゃって怒られたこともあるけどね」




小春ちゃんは笑って過去のことを話していたけど、あたしは上手く笑い返すことが出来なくて。

すごく思い詰めた表情になってしまっていた。



……だって、想像もしたことなかったんだよ。



ピアニストの戸沢さんの娘として名を恥じないぐらい、繊細かつ堂々としたピアノを弾く小春ちゃんが、まさかピアノを嫌いだなんて。



ピアニストの娘としてピアノを身近に感じられる小春ちゃんを羨ましく思ってたけど、その小春ちゃんがどんな気持ちでピアノに触れていたなんて知らなかったんだ。