小春ちゃんも腰を下ろしてから、しばらく沈黙が続いた。
とりあえずココアが冷めないうちに口に含むものの、ビスケットにまで手を出せるような雰囲気ではなかった。
小春ちゃんもマグカップを両手で持ちながらココアを飲んでいる。
だけどマグカップをテーブルに置き、先に口火を切ったのは小春ちゃんだった。
「……あたし、伸一と別れたんだ」
あまりにも何の脈絡もなく核心に触れてくるので、思わずマグカップから手が滑りそうになった。
だけど考えると今さら前置きがいらないことぐらい、お互いに承知している。
ここで本題を焦らすことが時間の無駄であることは、さすがにあたしにも分かった。
小春ちゃんの決意した目をしっかりと見て頷き、マグカップをテーブルに置いて言葉の続きを待った。
「今日学校で、別れたことが噂になってたでしょう?あれ、あたしが広めたの。……佐奈ちゃんの、反応が見たかったから」
「……えっ…?」
意外な事実に拍子抜けして、間抜けな顔をしてしまう。
朝からいきなり広まってたことにも驚いたけど、今はそれが小春ちゃんの思惑だったということの方が驚きだ。
しかもそれが、あたしの反応を見るため……?



