「どうぞ、遠慮なく上がってね」
「うん、ありがとう…」
小春ちゃんの家は学校から歩いて数分の場所にあった。
あたしの家とは違う地区だからこの辺に来るのは初めてで、お洒落な住宅街の雰囲気に余計に緊張してしまう。
眩しいぐらいにホワイトな壁に、鮮やかなワインレッドの瓦屋根。
それが小春ちゃんの家。
広い庭には彩り鮮やかなお花が咲いているガーデニングスペースがあり、玄関に入れてもらうと花瓶にお花が生けてあった。
お母さん、お花が好きなのかな……。
小春ちゃんのお母さんであり、ピアニストである戸沢さんはテレビでしか見たことがないけれど、何となくお花が好きそうな綺麗な人だったことを思い出した。
「佐奈ちゃん、ほら上がって?」
色々と見とれてしまってぼーっとしていると、客人用のスリッパを用意してくれた。
緊張に負けておどおどしながら、履き物を変えて上がらせてもる。
「あ、ありがとう」
「あたし、飲み物とか用意してから行くから、先に二階に上がっておいてくれる?部屋のドアにはプレートがかかってるし、すぐに分かるはずだから」
「う、うん…」
完全に挙動不審。
上擦った声で返事をすると、小春ちゃんはクスッと小さく笑って廊下の奥に歩いていった。



