「小春、ちゃん……」
背後に立っていたのは、さっきまで輪の中心にいた小春ちゃんだった。
いつの間にか抜け出していたらしく、あたしの後ろで遠慮がちに立っている。
「あの……佐奈ちゃん。良かったら今日の放課後、あたしの家に来ない?」
「えっ…」
「ちょっと、佐奈ちゃんと話したいことがあるの」
小春ちゃんの声は穏やかだったけど、真剣な目があたしを見ていてドキッとした。
話したいこと、なんて。
聞く前から分かってしまった。
でも今は周りに人がいるし、そんなことは口に出来ない。
動揺しているのを悟られないように、無理矢理口角を上げて笑ってみせる。
「……うん、いいよ。あたしも小春ちゃんに話しておきたいことがあるから」
小春ちゃんはあたしの返事に拍子抜けしたみたいに目を丸くする。
だけどすぐに、あたしと同じように口角を上げて笑った。
「それならちょうど良かった。……じゃあ、また放課後にね?」
目だけが真剣なままの小春ちゃんは、そう言うと教室を出ていってしまう。
そんな小春ちゃんの背中が、なんだか強く見えた。



