光を背負う、僕ら。―第2楽章―




……だけど、どうしてだろう。



あたしは確かに時間の流れに乗って過ごしているのに。



ときどき、まるで自分だけが止まっているような不思議な感覚に陥る。



時間がないと焦っているのに、おかしな話だよね。



だけど、自分でも分からないけどそう感じる。




昨日のあたし、今日のあたし。


一体どこが変わって、何が変わらずにいるのだろう。



変わりたい、と。

強く思えば思うほど、変わることが出来ていない気がする。




先生に頼み込んで始めたピアノの練習。


よく言えば勇気を出したと言えるかもしれない。



…だけど、実際は?


またお母さんと向き合うことから免れたくて、あんなことを頼み込んだんじゃないの?



そう考えると、結局何が良かったのかも分からなくなる。




「……はぁ…」



自分に対してついたため息は、微かに白くなって空に消える。



頼りないちっぽけなあたしの背中を、三日月だけが見守っていた。