光を背負う、僕ら。―第2楽章―




こうやってルーズリーフに書き残しておけば、あとからでも練習の参考になる。



力不足のあたしに出来るのは、たったこれだけのことだけど。



……一つずつ、こなしていこう。




――キーンコーンカーンコーン…




部屋に響くチャイムに驚いて我に返った。



古びた掛け時計が示す時刻は、最終下校時刻の5分前。



さっきのは予鈴か…。


だったら早く帰る準備をしなくちゃ。



時計を見ながら先生との約束を思い出して、急いで机の上に広げたものを片付ける。



そしてピアノにカバーを丁寧に掛けて、足早に旧音楽室を後にして職員室に鍵を返しにいった。






「うわ。もう月が出てる」



校舎を出ると、オレンジ色の空が端から徐々に紺色に染まってきているところだった。



その空の東の下の方には、細くて頼りなさそうな三日月がぽっかりと浮かんでいる。



いつしか陽が沈むのが早くなったなーと、改めて感じさせられた。



夏から秋へ。
秋から冬へ。



季節が刻々と進む中に、あたしは間違いなくいる。