「……あいつのこと本当はまだ好きなのに、諦めるなんて苦しいだろう?
俺だってまだ麻木のこと諦められてないから苦しい。けど、中途半端な優しさは要らないんだ」
「真藤君……」
「気持ちの整理がしたいから友達でいてほしいと言ったのは本当だ。
だけどそれ以上に、麻木自身に突き放してほしかった。絶対に無理なんだって痛感できるように。麻木に頼んだのは、そのための期間だったんだ」
真藤君が苦笑いをした。
……あたし、間違ってたのかな?
誰も傷付けないようにと思ってやってきたことも、本当は全部余計なことだったのかな。
巻き込んではいけない人たちを、巻き込みすぎたのかもしれない。
「……なぁ、麻木。麻木はもう、俺を突き放していいんだ。むしろ、突き放せ。必要のないものなんて、見なければいいんだ」
「そんな……。それじゃあ真藤君が悲しむことになるよ?悲しむのは、あたしだけでいいのに……」
「麻木が全部の悲しみを受け止めなくていいんだよ。必要ない悲しみは、俺が引き受けるから。だから、俺のことはもういいんだ」
真藤君はあたしに決断を促すように、笑っていた。
眉を下げた、今にも泣き出してしまいそうな笑顔で。
……だけど、そうは言われても、簡単に突き放せるわけがないよ。
あたしは大切な一言を口にすることも、真藤君の頼みに頷くことさえ出来ずに突っ立ったままだ。



