伸一に促されて公園内にあるベンチに座って待っていると、しばらくして伸一が戻ってきた。
サッカーボールを器用に腕と身体の間に挟み込んで、両手には1本ずつ飲み物を持っている。
「はい、飲み物」
「あ、ありがとう。お金……」
「別にいいよ。俺の奢り」
伸一はココアの缶を、ベンチに座っていたあたしに渡す。
それからあたしとはちょっと距離を開けて、同じベンチの左側に座った。
二人の間には、サッカーボールとエコバッグが居座る。
「……ありがとう」
伸一がくれたココアを両手で握って、もう一度お礼を言う。
すると伸一が「どーいたしまして」と微かに笑ってくれて、それだけでぎゅっと胸が締め付けられた。
手のひらから伝わる缶の温もりが、すごく心地良い。
プルタブを開けて口をつけると、甘い温かみが身体の芯に染み込んでいって、変な緊張が解される気がした。
それから少しの間、二人とも黙っていた。
伸一はスポーツドリンクを勢いよく喉に流し込んでいる。
額にうっすらと汗が滲んでいて、サッカーボールを持っていたことも考えると、サッカーでもしていたのかなって思った。



