あれぐらいの年齢のときは良かったなー。
あたしはすでに伸一への気持ちを自覚していたけれど、今より素直に『好き』という感情を抱いていた。
今はもう、その感情を抱いているだけで苦しい。
つらい思いをするだけの気持ちなんて、さっさと忘れてしまいたい。
自分を好いてくれている真藤君のことを好きになった方が、ラクに決まってる。
だけど、あたしは……。
エコバッグの取っ手を握る手に、ぎゅっと力がこもる。
そのときちょうどあたしは公園の出入口の前にいて、俯いていると、緩やかなスピードでコロコロとサッカーボールが転がってきた。
それはあたしの足に軽くぶつかると、完全に威力をなくして停止する。
突然のことに驚いてボールを見たまま固まっていると、風に乗って声が聞こえてきた。
「すみません!それ、俺のボールです!」
……ドクンッ。
声を聞いた瞬間、頭よりも真っ先に心臓が変な動きをして反応した。
ゆっくりと、顔を上げる。
まさか、そんな……。



