光を背負う、僕ら。―第2楽章―




明日美と流歌が話題を昨日のドラマに変える中、あたしの目線は伸一を追う。



思えばこうやって同じ教室の中で伸一の姿を見ることが出来るのも、あと少しなんだよね……。



卒業式の日までは、せいぜい約4ヶ月。



進学する高校が違えば、自然と姿を見ることもなくなる。



あと少し。
その間にあたしは、ちゃんと伸一への気持ちを断ち切れるだろうか。



伸一がいない場所で過ごす未来を想像すると、胸がざわざわとうるさくなった。



たとえ嫌でも、この感覚に慣れなくちゃいけない。



早く、早く。

頭ではそう命令する。



けれどあたしの瞳は性懲りもなく、何度も伸一の姿ばかりを映していた。





◇◆◇◆◇




その日の放課後。


いつもと同じように、真藤君と図書室にいた。



真藤君は机の上に数学の問題集を、あたしは五線譜をそれぞれ広げていた。



真藤君のが持つシャーペンはすらすらと数式を解いていくのに、あたしのシャーペンは迷子のように空中を泳ぐだけ。



東條学園の入試では、自作の曲を披露しなければならない。



ずっと前からそのことは分かっていたし制作に取り掛かっていたのに、あたしは未だに曲を完成出来ずにいた。