あたしはお弁当箱のおかずを箸で摘まんだまま、ちょっと俯く。
「……やっぱり周りの人には、付き合ってるみたいに見えるのかな」
事情を知っている明日美でさえ、そう思うのだ。
付き合ってるなんて噂がたってしまったのも、しょうがないような気さえした。
今だってときどき、クラスメートの視線を感じる。
同じクラスでも、真藤君は何も気にせずに昼食を食べているけれど……。
真藤君の姿を覗き見ていると、流歌が優しく微笑んだ。
「きっとみんな、興味本位で二人が付き合ってると思ってるだけだよ。
佐奈は真藤君と“友達”なんでしょう?その気がないなら、噂なんて気にしなくてもいいんじゃない?」
「それは、そうなんだけね…」
「何か気になることでもあるの?」
心配そうに流歌があたしを見つめる。
気遣ってくれているのは分かっているんだけど、何も言えなかった。
確かに、気になることはある。
ただそれを、あたしに言う資格があるだろうか。
だって、あたしはもう……。



