「それでもあの時におまえに告白したのは、エゴだったんだ。
あいつにフラれて傷付いてる麻木を見て、俺なら泣かせないって思った。
弱ってる状態で気持ちを言ったら、ちょっとは俺のことも見てくれると思ったんだ。
……なんだか、馬鹿な話だよな。そんなことしたって、好かれるわけじゃない。ましてや麻木を、余計なことで悩ませるだけなのに」
自嘲する真藤君に言いたい言葉はたくさんある。
『全然馬鹿な話なんかじゃない』
『真藤君が気持ちを言ってくれたから、知ることが出来た感情もあるよ』
『本当に、感謝してるんだよ』
……だけどどれも、喉の奥に詰まって声にならない。
首を横に振って否定するものの、真藤君の首は下を向いたままで伝わらなかった。



