光を背負う、僕ら。―第2楽章―




「……最初に、これだけは言わせて。
あたし、真藤君に“好き”って言われたとき、すごく嬉しかったよ。誰かに想われるって、本当に幸せだと思った。
だから……本当にありがとう」




誰かを想う幸せと辛さを教えてくれたのは、伸一。


だけど誰かに想われる幸せを教えてくれたのは、真藤君だった。



この感情を知らなかったら、あたしはきっと伸一への気持ちに決断を下せていなかったと思う。



だって想われる幸せを知らなかったら、伸一があたしに残したメモの言葉をもっと軽くしか受け止めていない。



でも知らない感情を知ったからこそ、伸一の言葉が今でも深く心に残ってる。



『伸一もこうやって、幸せだと感じてくれたんだ……』



そう考えることが出来たから、あたしはまたそれだけで幸せだと思えた。



だからこそ、気持ちに整理をつけることが出来たの。



きっかけをくれた真藤君には、本当に感謝してる。




――だけどあたしは、真藤君に教えてもらった感情を返せない。